発端は2000年ラピュタアニメーションフェスティバルで審査委員長を務めてくれた、ロシアのアニメーション監督ユーリー・ノルシュテインさんの「ここには学校がない」という発言だった。それは当時の日本の若者たちの作品群を初めて観てのことで、翌年、翌々年も同じ言葉を聞くことになった。1985年の広島国際アニメーションフェスティバルより数度の来日を繰り返し、日本を第二の故郷というようになった氏との30年以上にわたる交流の中で、既存の大学-学校教育とは別の形でできる事はないかと模索し続けた。
そして作家主義による作品制作の場を確保すること、平たく言えばモノをつくる人が自分の目で見、頭で考え、手でつくる、その初歩的な力を養うための「場」として、アート・アニメーションのちいさな学校が2007年に開校した。
ユーリー・ノルシュテインさんとの交流から生まれた学校
手でつくる。
ものづくりの面白さ。
ワンフレームのひとつひとつを積み重ねてつくる。
コマ撮り=ストップモーションアニメーション、パペットやカットアウト、ドローイング、様々な技法のアニメーションがあります。
それらは一つ一つ指先を使って丁寧に時には大胆に、細やかな仕事の積み重ねによってつくり出されます。
アート・アニメーションのちいさな学校では、自分の手をつかって、描き、造り、動かします。
自分のつくりたいものを作るために、コマ撮りアニメーションに必要な技術を学び、
そしてなにより志を共にできる仲間と出会う場所。作品づくりの学校です。
三つの特色
①チームで制作すること。
4人前後のチームを組み一つの作品をつくる過程で学ぶ。
人形アニメーションをつくるには多岐にわたる制作工程があります。シナリオ、キャラクター、美術デザイン、人形制作、セット〜小道具制作、アニメート、カメラ、ライティング、編集、音付け、仕上げ。これら作品をつくるために必要な工程を全て学びます。初めての人、独学でやってきたが一から専門的に学びたい方、人形アニメーション、コマ撮りアニメーションの方法論を学び、自身の作品をつくるための力を養い、制作するコースです。
②現役作家・プロから実践的に学ぶ。
各パート、人形や美術、アニメート、キャメラマンや照明技師、各パートにはそれぞれのプロフェッショナルな方が基礎から制作している作品について指導〜アドバイスします。2007年に開校した当校第一期生も卒業してはや10年以上、今では現場で活躍している卒業生や作家、研究者、特別講師など様々な人が周りにいます。
※授業内容その他については状況などによって変更することがあります。
③卒業後 スタジオで仕事〜作品制作も
卒業後は、それぞれ作家、フリーランスの技術者として歩む方が多く、アニメーションに限らず映像関係の仕事につく方もいますが、ノルシュテインさん曰く、学校のスタジオをかまえてそこで作品づくり〜仕事をさせなさいという言葉もあり、卒業後には学校スタジオでアニメーションの仕事〜作品制作をすることができるべく様々計画しています。